太陽光発電無料設置を利用するメリット

まずは「無料設置」を利用することによって得られるメリットを紹介します。

経済的メリット

多額にのぼる初期費用をゼロにできる

太陽光発電システムを購入する場合、多額の費用が発生します。一般家庭用の平均的な容量(4.4kW)の太陽光発電システムの場合、150万円前後から場合によっては200万円近い費用が発生します。

「無料設置」サービスでは、基本的に初期費用が発生しません。通常100万円以上掛かる費用負担無くして太陽光発電システムを導入することが出来ます。

電気代を節約できる

無料設置を利用する場合、契約期間中は専用の電気料金プランを契約する必要があります。そのプランは概ね、一般家庭では大手電力会社の標準メニューと比べて電気代が安くなる料金体系となっています。

また、契約期間終了後は自家消費分の電力を自宅で使うことができるため、その分電力会社から購入する電力量が減ります。一般家庭では年間に数万円の節約になるでしょう。

ローン金利負担が無くなる

太陽光発電システムを購入する場合、費用が高額であるため新築時の住宅ローンを含め、ローンを利用する場合が少なくありません。

例えば設置費用が100万円、35年・1%固定金利とした場合の金利負担は総額で18万円にのぼります。無料設置の場合はこうした金利負担が無くなる点でもメリットがあります。

契約期間中はメンテナンス費用が掛からない

無料設置モデルの場合、契約期間中の太陽光発電システムのメンテナンスは設置業者の責任のもと行われるサービスが多いです(契約前に要確認) 例えば故障などが発生した場合も、契約期間中であれば費用を負担することなく対応してもらうことが出来ます。

住宅の資産価値が向上する

契約期間中に関しては太陽光発電システムの所有権は設置業者が保有していますが、契約期間満了後は所有権が無償で譲渡されます。

太陽光発電システムは、パワコンは10~15年が寿命とされていますがシステムのキーである発電パネルは適切なメンテナンスをすれば30年以上は問題無く使用することが出来ます。契約期間満了後も継続して長い間使用できるため、資産価値が向上します。

太陽光発電システムとしてのメリット

続いて、太陽光発電システムを導入するメリットを簡単に整理して紹介します。自費で購入して設置する場合も、以下のメリットを得ることが可能なので「無料設置」に限ったメリットではありません。

停電時の非常用電源として活用できる

自立運転用コンセント

「無料設置」で導入した太陽光発電システムも、停電時に非常用電源として活用することが出来ます。

発電量(天候)によって大きく左右されますが、「自立運転用」の専用のコンセントから最大1500Wの給電が可能です。

例えばスマホの充電は1台10W程度ですし、液晶テレビは50~250Wなので晴れていれば十分まかうなうことが出来ます。スマホの充電程度なら曇りでも昼間なら出来る場合があります。

CO2排出量の削減に貢献できる

太陽光発電は発電時にCO2を排出しません。製造時にCO2が発生しますが、2年程度使用すれば削減効果が上回るとされており、社会全体のCO2排出量を削減することができ地球温暖化防止に貢献することが出来ます。

その他のメリット

契約期間満了後にパネルの所有権を得られる

「無料設置」によって導入した太陽光発電システムは、契約期間中は設置業者に所有権があります。しかし契約期間満了後は利用者側に所有権が無償で譲渡されるため、後は何に使おうが自由です(契約期間満了後は売電収入も得られる)

太陽光発電無料設置のデメリット

続いて、「無料設置」のデメリットや注意点を詳細に指摘します。

自由が制約されるデメリット

途中解約するには違約金が発生する

「無料設置」は10~20年程度と長い契約期間が設定されています。その契約期間の途中で解約する場合、設置業者に対して違約金を支払う必要があります。

この違約金の額は業者によっても異なりますが、契約の「残り期間」の長さに比例します。残り期間が短ければ違約金も少なく、多ければ高くなります。

違約金は年々安くなっていく

例えばある業者(契約期間10年)の場合、一般家庭の平均的な容量である4.4Wの太陽光発電システムを契約初年度に解約すると96万円の違約金が発生します。

ただし解約の場合、違約金を支払うことで発電システムは自分のものになるため、解約と言うよりは「買取」というイメージに近いです。また、業者によっては自費で購入するよりも安価な「違約金」を設定しているため、導入直後にあえて解約する利用者もいるほどです。

解約条件については契約前にしっかりと確認してください。

蓄電池やエネファームを導入できなくなる

無料設置モデルの仕組み上、蓄電池やエネファーム(家庭用燃料電池)と併用することが出来ない無料設置サービスがほとんどです。

既にこれらの設備を導入済みの建物で太陽光発電の無料設置サービスを利用することも出来ません。

蓄電池との併用はできない

好きな電力会社と契約することが出来ない

太陽光発電の無料設置サービスを利用するにあたって、電力の購入先を業者の指定先に変更する必要があります(多くは無料設置サービスの提供業者自体が提供している電気料金プラン)

大手電力会社の標準メニューと比べて安価な料金プランを提供しているところが多いですが、自由度が制約される点には注意が必要です。電力自由化で安価な電力会社と契約している場合は、プランを変更することで電気代の単価が上がってしまう場合もあります。

ただし、発電した電力を自家消費することが出来るため、電気代自体は従来より大幅に削減出来るケースが多いです。

屋根の修理などに制約が出る場合もある

滅多にある話ではありませんが、何らかの事情で屋根の修理などが必要となり、パネルを撤去する必要が出た場合などに、「解約」という扱いとなり違約金が発生するケースがあります。

好きな設備を選ぶことが出来ない

自分で購入する場合は、パネルからパワーコンディショナーまでそれぞれ自分で好きなメーカーの、好きな製品を自由に選ぶことが出来ます。

無料設置を利用する場合、基本的に自分で何か選択することは出来ません。

経済的なデメリット

関連記事:太陽光発電の無料設置は本当にお得なの?購入する場合と比較する

契約期間中は売電収入を得られない

通常、太陽光発電システムによって生じる「余剰電力」は売電することができ、売電収入を得られます。

ですが無料設置サービスでは売電収入を設置業者が得ます。その売電収入によって設置費用を回収する仕組みであるためです。

なお、契約期間終了後は太陽光発電システムの所有権が利用者側に移り、売電収入も得られるようになります。

自家消費分にも電気代が発生する

太陽光発電システムによって生み出された電力は、まずは設置された建物(住宅など)で消費されます。その分を自家消費と呼びます。残りは余剰電力として売電されます。

購入して設置した太陽光発電の場合、自家消費分は「電気代ゼロ」の電力として使用できます。自家消費分、電力会社から購入する電力を減らすことができ、電気代削減効果が得られます。

一方、無料設置太陽光発電では自家消費分に対しても所定の電気料金が発生するとしているものが多いです。いくら自家消費をしても電気代の削減効果は得られません(契約期間中は)

その他のデメリット

住宅メーカーの保証を受けられなくなる場合も

ハウスメーカーや建設会社は一定期間にわたり、雨漏りなどに対して保証を提供していることが多いです。

ですが無料設置を含め、自分で太陽光発電システムを設置した場合、その保証制度の適用を受けられなくなることが多いです。

滅多にあることではありませんが、施工不良などで雨漏りが発生した場合などは出費が膨らむリスクがあると言えます(無料設置に限らず、太陽光発電システムを導入する場合の共通のリスクです)