ネット広告でもよく見かける京セラ関電エナジーの太陽光発電には、注意すべき「デメリット」もあります。注意点や、導入するメリットを詳しく解説します。
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京セラ関電エナジーとは
まずはサービスを提供している京セラ関電エナジーについて簡単に触れておきます。
京セラ関電エナジーは、その名のとおり太陽光発電システムの製造や販売を手掛けている京セラと、関西電力が共同出資して2019年に設立された会社です。異なる強みを持った、関西の「エネルギー企業」がタッグを組んで太陽光発電システムを活用したサービス提供を行うことを目標としている会社です。
この記事では、同社の太陽光発電システムを無料で設置できるサービスについて、詳しく解説します。
京セラ関電エナジーのメリット
京セラ関電エナジーのメリットを他社の太陽光発電の無料設置サービスとも比較しながら解説します。
太陽光発電システムを無料で導入できる
京セラ関電エナジーの太陽光発電システムは、初期費用「無料」で設置が出来ます。通常、一般住宅に太陽光発電システムを導入すると100~150万円あるいはそれ以上の初期費用が掛かりますが、同社のサービスを利用すれば0円で設置が可能です。リース費用やローンも必要ありません。
電気代が安くなる
京セラ関電エナジーの太陽光発電システムの導入にあたって、電力の購入先を同社に変更する必要があります。
提供されているプランは、一般住宅では東京電力や中部電力の標準メニューと比べて月に数百円程度安くなる料金設定です。契約することで電気代が安くなります。
オール電化プランにも対応している
他社の太陽光発電の無料設置サービスの場合も、専用の電気料金プランの契約が必要となりますが、そのプランが「オール電化プラン」でないことが少なくありません。その場合、大手電力会社のオール電化プランと比べて電気代が「割高」となります。オール電化住宅では導入メリットが小さくなりがちです。
京セラ関電エナジーはオール電化住宅向けのプランも提供しており、東京電力や中部電力のオール電化プランである「スマートライフ」と比べて安くなる料金体系です。
京セラ製のパネルを設置できる
京セラ製のパネルが設置されます。
他社の無料設置サービスでは、設置されるパネルのメーカーが非公表(多くはシェアが大きく安価な海外メーカー製)となっているものが多いため、国内パネルメーカーにこだわりたい人にはメリットとなります。
京セラ関電エナジーのデメリット
続いて、デメリットや注意点を解説します。見落としがちなポイントもあります。
電気代が大幅に高くなる場合もある(特にオール電化)
メリットの部分ではオール電化住宅でも導入するメリットがあると紹介しましたが、特にオール電化住宅では電気代が割高となるケースもあります。
比較対象を東京電力や中部電力の現行のオール電化プランである「スマートライフ」とした場合、京セラ関電エナジーのオール電化プランは「割安」です。
一方、東京電力の「電化上手」など過去に提供されていた、新規契約が現在は出来ないオール電化プランと比較すると、場合によっては電気代が年間で数万円割高となります。「電化上手」は現行の「スマートライフ」より大幅に割安のため、スマートライフに準じている京セラ関電エナジーのオール電化プランは割高です。
東京電力の電化上手、中部電力のEライフプランを現在契約している場合は、京セラ関電エナジーを含め太陽光発電の無料設置サービスの利用は推奨しません。太陽光発電を導入する場合は購入しての設置をおすすめします。
当初10年は売電収入を得られない
通常、太陽光発電を設置すると「余剰電力」を売電することで売電収入を得ることができます。一般住宅では年間7万円前後あるいはそれ以上の売電収入が得られます。
京セラ関電エナジーの太陽光発電は、無料で設置できる代わりに契約期間中(10年)に発生する売電収入は利用者側ではなく京セラ関電エナジーの取り分となります。同社は設置費用を売電収入から回収するビジネスモデルです。
自家消費分にも電気代が発生する
太陽光発電を設置し、発電した電力を自宅で使用するとその分は「自家消費」といって電気代が掛かりません。電力会社から購入する電力量が減るため、その分電気代を削減できます。
京セラ関電エナジーを含め、太陽光発電の無料設置サービスを利用して設置した太陽光発電システムは、契約期間中(京セラの場合10年)は自家消費分にも電気代が発生します。すなわち昼間の電気代はタダではないということです。
中途解約には高額な違約金が発生する
10年の契約期間が終了する以前に解約するには、設置した太陽光発電システムを「買い取る」必要があります。買い取り費用は以下のとおりです。
- 1年目 29.7万円/kW
- 3年目 24.2万円/kW
- 6年目 15.4万円/kW
- 10年目 2.75万円/kW
例えば一般住宅で平均的な4.5kWの発電システムの場合、契約初年度で解約すると133万6500円を支払う必要があります。
他社の太陽光発電無料設置サービスでも同様に違約金(買い取り費用)が発生しますが、例えば初年度の解約で東電系の「ほっとでんき」は93万円、中部電力が出資している「Looop未来発電」では99万円(いずれも4.5kWの場合)なので、京セラ関電エナジーの違約金の設定は無料設置サービスの中でもかなり高いといえます。
他社のサービスの場合、違約金を支払って初年度に解約しても、自分で業者を手配して購入するより割安で済む場合も多く実は「お得」ですが、京セラ関電エナジーの場合は高くつく場合も少なくないため注意が必要です。決して法外な金額ではありませんが、購入する場合と比べて「やや高め」です。