太陽光発電を導入する際に、住宅ローンやソーラーローンを利用して借り入れを行う人は少なくありません。ですが、ローンで太陽光発電を導入するのは絶対におすすめしません。損と言い切れるからです。その理由を、数字を交えながら分かりやすく解説します。
ソーラーローンの金利負担は?
まずは銀行が提供しているローン商品である「ソーラーローン」のケースを試算します。
2.5%という「高金利」
銀行名 | 金利 | 借入期間 |
---|---|---|
イオン銀行 ソーラーローン | 2.5% | 1~15年 |
三菱UFJ銀行 リフォームローン | 1.99~2.875% | 1~10年 |
横浜銀行 ソーラーローン | 1.7~2.7% | 1~15年 |
阿波銀行 ソーラーローン | 2.5% | 1~15年 |
山梨中央銀行 | 2.275~2.975% | ~15年 |
JAバンク JAソーラーローン | 2% | 1~15年 |
記事執筆時点(2021年4月)の各社公式サイト掲載の金利をまとめました。
ソーラーローンの金利は概ね、2~2.5%が平均的な水準です。
金利負担は総額で15万円以上に
では、ソーラーローンを利用して太陽光発電の設置費用を全額まかなった場合の、総額の金利負担はいくらになるのか。120万円を借り入れた場合の金利負担総額をまとめます。
ケース | 金利負担総額 |
---|---|
2%・10年 | 13万円 |
2.5%・10年 | 16万円 |
2%・15年 | 19万円 |
2.5%・15年 | 25万円 |
120万円の設置費用に対し、15万円以上を金利だけで負担する必要があります。
15万円の金利負担は、2022年度の固定価格買取制度による売電価格(17円/kWh)で8823kWh分に相当します。ちなみに、4.5kW容量の太陽光発電設備の年間平均発電量が5300kWh程度です。この全てが売電できるわけではないので、数年分以上の売電収入を金利に食われてしまうことになります。
住宅ローンに含めた場合の試算も
新築時に住宅ローンに含めて太陽光発電を設置するケースを試算します。
10年固定で0.6%程度
住宅ローンの金利は、2021年4月現在以下のようになっています(最も金利が低い銀行のケース)
ケース | 金利 |
---|---|
変動 | 0.4%~ |
固定10年 | 0.5%~ |
全期間固定 | 1%~ |
10年固定では、平均的に0.6%程度の金利負担が発生します。ソーラーローンを利用するよりも利率はとても低いです。
金利負担は35年間で総額14万円
太陽光発電の設置費用として120万円を0.6%、35年間借り入れた場合の金利負担は、総額で14万円にのぼります。利率は低いですが返済期間が長いため、大きな負担となります。ちなみに14万円という金額は2022年度の固定価格買取制度売電価格で8235kWh分に相当します。
融資手数料も3万円以上発生する
住宅ローンを検討する際に見落としがちなのが、融資手数料です。金利負担とは別に発生します。
りそな銀行の住宅ローンの場合、以下の手数料が掛かります。120万円を太陽光発電のために追加で借り入れた場合の負担額とあわせて紹介します。
内訳 | 手数料率 | 手数料額(120万円) |
---|---|---|
融資手数料 | 2.2% | 26400円 |
抵当権設定登記諸費用 | 0.4% | 4800円 |
太陽光発電を設置することで、諸手数料として3万円程度が発生します。2022年度の固定価格買取制度売電価格で1765kWh分に相当します。
ローンで太陽光発電設置するのは明らかに損
これらの金利、手数料負担をふまえると、ローンを組んで太陽光発電を設置するのは「損」と言えます。
ローンを組むなら「無料設置」の利用が得
ローンを組んで太陽光発電を設置するなら、「無料設置モデル」を利用した方がお得です。
無料設置というのは、設置業者の負担で発電設備を設置し、一定期間(10~15年程度)は売電収入を設置業者が持っていく代わりに、利用者は費用負担ゼロで太陽光発電を設置できるサービスです。
契約期間内は売電収入を得られない、自家消費分にも電気代が発生するなどのデメリットもありますが、ローンを組んで太陽光発電を導入するよりも「明らかにお得」です。契約期間満了後、無料で発電設備の所有権を得られることが出来ます。関西電力系や東京電力系など、大手電力会社もこぞって参入しています。
無料設置とローンの比較
ローンを組むよりお得だと言える理由を、数字で紹介します(設置当初10年の試算)
内訳 | 無料設置 | ローンを利用した購入 |
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初期費用 | 0円 | 120万円 |
売電収入(当初10年) | 0円 (売電収入無し) | -60万円 |
電気代削減(自家消費) | 0円 (削減メリット無し) | -37万円 |
ローン金利・手数料 | 0円 | 18万円 |
差し引き | 0円 | 41万円の持ち出し |
10年経過後(無料設置の契約期間満了後)は、いずれも同額の売電収入と自家消費による電気代削減メリットを得ることが出来るため差はありませんが、当初10年間で見ると「無料設置」の方が41万円もお得ということになります。
特にローン負担による差が大きいので、ローンを利用するのであれば無料設置を利用した方が圧倒的にお得です。
以下の記事で無料設置サービスを一覧で比較しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:太陽光発電無料設置の比較表